そういう見方もあるんですね 島崎今日子さん 朝日のコラムから |
朝ドラの「カーネーション」では誰も「本音を隠す動作」をしていない。おばあさん役の正司照枝が裁縫をしたりスイカを切るシーンのリアルなこと。母親役の麻生祐未のちょっとぼんやりした風情もごく自然で、魅力的。そして男の沽券に縛られてがんじがらめの父親を演じて、小林薫のうまいこと。この人で、森繁久弥が演じた「夫婦善哉」の柳吉を見てみたいと妄想しながら、毎回その演技に見とれている。無論、我らがヒロイン、糸ちゃんを演じる尾野真千子が素晴らしい。東京の美容師さんが「生まれて初めて朝ドラにハマった。主役のはつらつとした演技にやられた」と言っていた。かく言う私もハマっている。渡辺あやの脚本は精神もセンスもあり、15分という短さを伽としないで、ときにテンポよく、ときに余韻を残す筆運びが絶妙。ミシンをだんじりに見立てたオープニングの映像と椎名林檎の歌も一体となって、女たちへの応援歌を奏でている。(ライター・島崎今日子)
こんな褒めている、島崎今日子を知らないな?