もう、1年になるのですか?河野裕子さんが亡くなって・・・ |
さびしさを消しくるるまで
河野裕子
命の水際まで歌い続け告げる河野の真意は「私を忘れないでほしい。寂しさに堪えながら生きてほしい」だろう。その心を「さびしさがさびしさを消しくるるまで」に寵めたところが切ない。
命の水際で、なおも懸命に生き、家族を愛し、短歌を作り続けたその生き方への率直な感動からだろう。・・・
蝉声』最後の一連から二首を紹介しておこう。
さみしくてあたたかかりきこの世にて会ひ得しことを幸せと思ふ
手をのべてあなたとあなたに触れたきに息がたりないこの世の息が
二首目の「あなたとあなた」は夫と子か、それとも夫一人か、人によって読みが分かれる。「あなたと」と言い「あなたに」と繰り返して、私は夫だけを見つめたラストメッセージと読むが、これからも議論されていくだろう。命の水際まで歌い続けて、短歌の力を身を以て示した河野のその渾身が尊い。
河野が亡くなったのは昨年八月十二日、まもなく一周忌である。 (歌人)三枝 昂之
この歌は、衝撃でした、わたしにとっては!
手をのべてあなたとあなたに触れたきに息がたりないこの世の息が