なかなか、面白い、よしもとばななさんのエッセーです |
私は前者! あの時間がなくてどうやったら1日に句読点が打てるのか。
どんな国のどんな場所にいても、夕方あるいは夜飲むI杯のことを考えている、これはも、やはりりっぱな病気だと考えたときもあるが、この病気ならいい、一生なかよくつきあっていこう、とまじめに思った。
なにを飲んで、なにをおつまみにするか、それを考えるだけでたいていの憂さが隋れる。なんてくだらない自分だろうと思うこともあるけれど、そんなものだ、その程度だ、と思えればこんなに安上がりなことはない。
というわけで、私の一日はすてきな朝食でもなく、たっぷりランチでもなく、そのひとときだけに向けて収束していくのだ。
子どもは細胞がぶちぶち生き生きしているから、ビールがなくても幸せでいられたのだろう。今やほろ酔いにならないと頭がゆるめられない。情けないことだ。
しかし、別の幸福がこうしてやってきたではないか、と思う。あの美しい時間をおつまみタイムと呼ぶようになったのは、それからである。