選挙は機能しているか? 朝日新聞 東 浩紀さん |
政治の空転は理念がないからだと言われる。しかし空井は、そもそも理念が機能しない現代社会では「理念なき政党政治」は不可避だと言う。そして理念がない以上、政策の変化の幅は必然的に大きくなり、選挙で政策を選ぶことは難しくなると指摘する。では選挙はなんのためにあるのか。空井の考えでは、今後、選挙の機能は政治家に「事後的に」審判を下すことに限定されざるをえない。つまり、政策については政治家に丸投げし、国民はそれを監視することしかできないというのである。空井論文は原理論だが、この分析に従えば、昨年の衆院選も今夏の参院選もとくに問題視しなくてよいことになる。麻生政権がだめなので民主党、鳩山政権がだめなので自民党。現代社会では、どうせ国民はそのような投票行動しかできないのだ。この議論には説得力がある。しかしそれだけに「それでいいのか」との疑問が拭えない。政策選択の手段として選挙が機能しないならば、別の手段を編み出すべきではないのか。
あずま・ひろき 1971年生まれ。専門は現代思想など。講談社のPR誌「本」に連載中の論考
「一般意志2.0」で、ルソーの「社会契約論」などを手がかりに、民主主義社会の新たな像を探っている。
う〜ん、よく分からんけど、選挙で政策は選べない?