「自然に生活」が大原則 日経新聞 |
血液の流れやすさは主に赤血球という細胞成分によって決まる。赤血球は柔軟性がきわめて高く、自在に変形しながら、自分より細い血管を楽々と通り抜けていく。ところが重い病気になると、その柔軟性が失われ、血液は流れにくくなる。でも大丈夫だ。そのような赤血球は途中で破壊され、血液中から直ちに排除されるようになっている。血液は、決してドロドロにも、サラサラにもならない。
その不足分を、お茶などの飲み物で満たせばよいことになるが、人間の体には、水分量を一定にするための仕組みがある。「のどが渇いたら水分を取る」だけで十分なのだ。
水を飲み過ぎても、普通はすぐに尿として排せつされるが、 一時的に血液が薄まるため、胃腸障害や疲労感などの症状が出ることもある。水分は取り過ぎないことも大切だ。
人間の体には巧みな仕組みが幾重にも存在する。進化の過程で、地球環境に合わせて生きていけるよう、遺伝子が成長してきたからだ。自然に逆らわずに生きればいい。
この大原則を理解しておけば、水分補給に限らず、健康情報のウソ、ホントを見分けられるようになる。(新潟大学教授 岡田正彦)