無印良品 しまざき・あさこ・嶋崎朝子さん 朝日新聞 |
自分が一番厳しい客になる
何でも体験し「つっこむ」
とにかく現場にヒントあり
11年間に開発を手がけた商品は約3900点。ほぼ1日に1個のぺースで生み出してきた計算になる。市場調査してアイデアを出し、商品づくりを指揮する。半透明容器の湯たんぼや化粧品類を収納するメークボックスなど、その多くがヒットにつながった。
「流行の先端をいくとか、すごいことをやろうとかの思いはないんです。『もっとこうしたら使いやすいのに』と、身の回りのものに″つっこみ″を入れる中でアイデアが生まれる」。
アロマデイフューザーは、大型で派手な装飾の既製品に対し、「香りを楽しむ人が増えたのに、なぜコンパクトで安いものがないの?」と不満に思ったのがきっかけだった。
街で見かけた女性のバッグが気になれば、しばらく後をつけてデザインだけでなく使い方を観察。食パンは1枚ずつ食べるのに、袋に書かれたカロリ−表示が総枚数分なのを不思議がる。
気になるものがあれば、買って実際に使ってみる。自宅の風呂場にシャンプー類が20個ぐらいたまったことがある。ポーチ類は写真に撮影して管理しているほどだ。
現場にも足を運ぶ。化粧品のふたに色別シールをはったのは、似た容器の商品群を前に店頭で途方に暮れる客を目の当たりにしたためだ。会社は商品をつくる自前の工場を持たないだけに、委託先の職人や生産現場の様子を把握しておくことも欠かせない。