落合恵子さんが紹介していた、長田弘さんの詩 |
この一年を振り返ってみれば・
この小骨たち、今年も終わろうとしている今頃になって、「ここにいるヨ」と、その存在を主張してくれるのだから、始末に負えない。
料理用の小骨とりはキッチンに、毛抜きもまた鏡の引き出しにはあるのだが、記憶に刺さった小骨を抜きとる道具は、通販のサイトを探してもないに違いない。
まあいいかなぁ。小骨を抜かなくとも。
とにもかくにも、年の暮夜で辿りついた自分をたまには労ってやろうじゃないか。毎朝せめて30分でもと買ったウオーキングシューズ。
この黄緑の紐をしっかり結んだことは何回あった? この靴底が地面を踏んだのは? と数えあげるのはやめた、やめたっ!今日を入れてあと6回は、2009年の地面を踏めるのだから、と自分の都合のいいように発想を転換。
そうして、年の暮れとなるとなぜか読み返したくなる、詩人長田弘さんの、あの詩の、あの一節を暗唱する。
……この世で、人はほんの短い時間を、土の上で過ごすだけに過ぎない。
仕事して、愛して、眠ってひょいと、ある日、姿を消すのだ、
人は、おおきな樹のなかに…・。
小骨はそのままに、それでも深呼吸をして、よいお年を!(作家)
◇「積極的その日暮らし」は、1月16日に再開します。