「智恵子抄」に曲をつけて歌うモンデンモモさん(49) |
精神を病んだ末に病死した妻・智恵子への純愛がつづられた詩を、しっとりとした曲にのせて歌い上げる。
20年前、弟が心の病になり、自殺した。25歳。今でいう統合失調症だった。何も手につかない日々が続いた。
「弟と同じような病だった智恵子は何を考え、思っていたのか」。繰り返し読むうち、「智恵子は東京に空が無いといふ、ほんとの空が見たいといふ」で知られる詩に、口ずさみで最初の曲ができた。
劇団四季を経て歌手、作曲家、ミュージカルの演出などを手がける。05年には16曲をまとめた「モモの智恵子抄」を発売した。5日は智恵子の命日にあたる。故郷の福島県二本松市(旧油井村)で毎年「レモン忌」が行われる。今年は初めて、その会場でミニコンサートを開き、詩の解説や作曲時の心境をつづった楽譜集を発表する。
19年、歌い続け、読み続けてきた。最初は光太郎が智恵子を追い詰めたと考え、責めていた。今は生涯、1人の女性だけを愛し続けた詩人だと思う。智恵子抄との出会いを運命と感じ、2人の心情を追う旅を続ける。