郵政民営化見直しが「第2のJAL」を生む |
大矢 昌浩 【プロフィール】
郵政民営化の見直しを政策課題の“1丁目1番地”に掲げる国民新党の亀井静香代表が郵政・金融担当相に就いた。この組閣人事を最も喜んでいるのは、全国郵便局長会(全特)だろう。
統合計画見送りが招く大きな損失
日本郵便の「ゆうパック」と日本通運の「ペリカン便」を、両社が共同出資で設立したJPエクスプレス(JPEX)に統合するという計画も、白紙に戻される可能性を排除できなくなってきた。
10月1日に予定されていたブランド名とオペレーションの統合は、前政権の佐藤勉総務相が選挙直後の9月8日に認可を見送っている。
当然ながらJPEXでは、ゆうパックとペリカン便を10月1日から一緒に運営する前提で、情報システムの構築、物流拠点や配送網の手配、業務プロセスの整理などを進めてきた。
佐藤前総務相としては、政権交代の直前に重要な判断を下し、後から責任を問われることを避けたかったのだろう。鳩山邦夫元総務相のドタバタの辞任劇を受けて急遽登板した立場を理解できないわけではない。
しかし、判断の留保による先送りは責任逃れと言わざるを得ない。かつ最悪の選択だったと筆者は考えている。