なんて美しい日本人 |
隔月刊の「かがり火」という地域づくりの情報誌を発行して、各地域で様々な営みをしている人々を紹介してきた。農民、地場産業の事業者、商店主、サラリーマン、村長、自治体職員など、職種を問わない。「キラリと光る哲学のある無名の人」の発掘に力を入れた。
しかし資金繰りに窮して、20年余り続けた雑誌を4月15日号をもって休刊した。どんな思いなのか、東京・神田の小さな事務所を訪ねたら、意外に表情が明るく屈託がない。
「負け惜しみに聞こえるかもしれませんが、この仕事をしてきて良かったのは、日本は何て美しい国なんだろうと思ったことですね。青森県の十和田でも、観光客が来ない、素晴らしい風景があるんですよ」
「もう一つ、今でもこんな人がいるのかと思うような、美しい日番人に出会えたことです。例えば山あいに住むおばあさんが、誰も通らないような家の前の道を毎日きれいに掃除して、花を育てている。経済には何も貢献しませんが尊い行為でしょう」