古文書遊び無我夢中 日経新聞 |
自分たちの歴史に直接触れるように感じられるのが古文書を読む楽しみ、だ?たとえば、伊能忠敬の全国測量はドラマでは格好良く描かれるが、高山でも住民が九百人以上動員され、費用も大半が地元が負担したと記録がある。
意外な農民生活あらわ
また、田畑の記録は年貢の対象の作物についてだけで、主食だったはずの麦やサツマイモの畑の記録はない。その年貢も、当時の中心部、高山本浦では百五十五軒のうち、納めていた家は五十九軒のみ。時代劇に描かれる過酷な農民の生活とはだいぶ開きがあるようだ。
やがて、縁あって記録を預かった者として、内容を地元の人に知らせる義務があると思い始めた。銀行を退職し、その後勤めた短大・大学での講義も終えたのを機に、二〇〇三年より自費出版の小冊子の製作を始め
た。既に十一巻を、地元の公民館を通じて配布したほか、十巻までをまとめて「宇和島藩領 高山浦幕末覚え書」という本にした。
今では、田中家文書に書かれた文字の九五%は読めるが、作業が済んだのは全体の三割程度だ。小冊子のテーマもあと四つや五つは思いついている。「毎日が日曜日」の生活とはいえ、退屈する暇はない。「一日が三十時間であれば」とすら思っている。(たなか・さだてる=元いよぎん地域経済研究センター社長)
良いですね、こういう方がいることは!!
”貧農史観を見直す”の本にもつながりますね!