無理なく筋肉を鍛える 武藤 芳照 日経新聞 |
例えば、立った姿勢で、いすかテーブルに手を添えて安定させた状態で、両かかとを上げてつま先立ちをして数秒保ち、元に戻す運動があります。ふくらはぎの筋肉を強化し、歩くときに、しっかりつま先で地面をけり出せるようになります。
逆に、両つま先を上げてかかとで立ち、数秒保ち、元に戻す運動は、すねの前の筋肉を強化し、歩くときにつま先をしっかり上に向けられるようになり、つまずきにくくなります。この運動を、それぞれ息をこらえないで普通に呼吸しながら. 10〜20回繰り返します。回数は、そのときの状態に応じて減らしても構いません。
また、日常生活の中でよく歩くとともに、階段をしっかり上って下りる動作も大切です。「世の中にある階段は、自分のために用意された筋肉を鍛える運動施設」と思うのもよいかもしれません。無理なく筋肉を鍛えるのが、転倒予防のコツなのです。(むとう・よしてる=東京大大学院教授)