時代の恩恵努力してこそ 松越園子 朝日新聞 |
ただ、ウッズが言わんとしたことは、「恵まれた時代に生まれた現代の若者がうらやましいなあ」なんてことでは決してない。
旋風を巻き起こしているティーンエージャーは、今の時代に生まれたというそれだけの理由で自動的に台頭してきたわけじゃない。今の時代の恩恵をフル活用し、人一倍努力しているからこそ。
ウッズ白身、歩んできた時代の産物を最大活用し、最大努力をしてきたという実感があるからこその分析だった。
巷では「自分も、あと1 0歳若かったら…」というフレーズを耳にする。しかし、たとえ10歳若かろうと、違う時代に生まれていようと、白身の在り方や生き方が今と同じなら、結局、何も変わらない。
「今」を生きていると、すべてが当たり前に思えて、時代の恩恵に対する感謝の念は、「ついつい忘れがち。けれど「今」をもっと活用し、努力すれば、いくつもの時代を超えて「フォローの風」が吹くのだ。
だからウッズという「王者の風」は、あれから十年が経過した今も堂々と吹いているのだ。(在米ゴルフジャーナリスト)