「横並び」今度こそ脱却を 日経新聞 |
例えば日立製作所やパナソニックが数千億円規模の最終赤字になる電機。野村証券の山崎雅也アナリストは業績悪化のドミノ現象を「横並び的な経営体質が変わらなかったのが原因」と指摘する。選択と集中が進
んだとされる電機大手も、実際はテレビや携帯電話などでプレーヤー過剰が続いた。その結果が恒常的な家電事業の赤字体質だ。
になってしまった。
昨年十~十二月の国内総生産(GDP)は一二・七%の大幅なマイナス。その原因を「電機も機械も素材も自動車事業に一斉に殺到した反動が出た」と自動車大手の首脳は見る。石にならえの単一文化(モノカチャー)が景気の谷を深くしてはいまいか。
自動車向けビジネスは成長性が高い。そう読んだ電機大手はここでも横一線で突き進んだ。だが最大の米国自動車市場から景気悪化が広がると、部品需要が一斉に冷え込み、総崩れしてはいまいか。
今後守年を見据えれば最大の問題は次の成長ストーリーを打ち出せずにいる点だ。電機の勝ち組は十年前も今も変わらない。ハードからサービスへカジを切った米IBMは不況知らず。新興国戦略が奏功した韓国サムスン電子も家電・半導体でシェアを上げている。
日本はなぜ両社を凌駕できなかったのか。横並びを脱せず、突き抜けた戦略を打ち出せなかった体質に原因があったのではないのか。
次の十年にどう巻き返すか。その問いは日本の産業すべてに向けられる。モノカルチャーから脱皮し、世
界で勝てる戦略をどう練り直すか。すべてはまたそこから始まる。(編集委員 中山浮史)